臨床検査科

臨床検査科とは

現代の医療において臨床検査は極めて重要です。疾患の診断、治療、予防などあらゆる場面で、検査が客観的な評価法として役に立ち、患者さんの適切な診断、治療に結びつきます。検査の種類は年々増加しており、その内容も複雑化しています。検査結果を正しく解釈して診療に活かすことは、すべての医師にとって必要不可欠なスキルですが、検査技術の発達に追いつけないこともあります。
臨床検査科は、臨床検査に関する全般的な知識と、関連する有用な付加価値のある情報を臨床医に提供して、各診療科と臨床検査室を橋渡しする役割を果たすことで、最終的に患者診療に貢献する診療科です。検査を機械的に実施して、その結果を報告するのではなく、患者さんの臨床状況を踏まえて、主治医のニーズに合った、価値のある検査結果を返すことが重要だと考えています。
患者さんに直接お会いする機会は少ないですが、全診療科の主治医を、臨床検査医学、血液学、感染症学の観点からサポートできるDoctor’s Doctorとしてその責務を果たしています。

診療内容

1)検体検査の品質保証
各診療科の日常診療に欠かせない臨床検査の品質保証を行い、血液検査や尿検査などの検体検査について、短時間で質の高い分析結果を分かり易く担当医へ提供します。
2)臨床検査診断支援

  • 微生物検査結果に基づいた感染症診断、抗菌薬治療に関する支援を行います。
  • 薬剤耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ESBL 産生菌、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌、多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクターなど)の抗菌薬治療に関する支援を行います。
  • 一般検査(尿・便・髄液・体液検査)、血液検査、生化学検査、免疫・血清学検査、微生物学検査、染色体・遺伝子検査などの結果の解釈について随時相談を受けています。
  • 血液疾患(造血器腫瘍を含む)の血球形態診断(末梢血・骨髄)を行います。
  • 血栓性疾患や出血性疾患の血栓・止血検査診断(血小板凝集能検査、クロスミキシングテストなど)を行います。

特色

現代の医療において、適切な診断や治療のために臨床検査は欠かすことができません。臨床検査とは、血液検査・尿検査などの検体検査や心電図・脳波などの生理機能検査、そして超音波検査などが含まれます。これらの検査が正確に実施されているかどうか、常に定期的な検証(精度管理)を行っています。そして臨床検査科では測定された検査結果を、有用な付加価値のある情報として臨床医に提供することで、各診療科と臨床検査室を仲介する役割を果たし、患者診療に貢献します。また、検査結果の解釈に関する相談も随時受けています。
さらに現在は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査体制の構築に積極的に関わっています。検査に関する国内・国外の各種ガイドラインも参考にしながら、検査精度、検査に必要なコスト、汎用性、将来性などを総合的に判断して、最善な検査が実施できるようにします。

主な対象疾患(臨床検査診断支援)

1)感染症

  • 中枢神経感染症(髄膜炎、脳膿瘍、脳炎など)
  • 呼吸器感染症(上気道炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸など)
  • 尿路・泌尿器関連感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎など)
  • 血管内感染症(感染性心内膜炎、感染性動脈瘤など)
  • 腹部感染症(胃腸炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、虫垂炎など)
  • 皮膚・軟部組織感染症
  • 骨・関節感染症(骨髄炎、関節炎など)
  • 性感染症(クラミジア、淋菌、梅毒など)
  • 医療関連感染症(免疫不全者の感染症、血管内留置カテーテル感染症、人工呼吸器関連肺炎、手術部位感染、クロストリジオイデス・ディフィシル感染症など)
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

<感染症は全身の病気>

感染症は全身の病気

2)血液疾患

  • 造血器腫瘍
  • 赤血球系疾患
  • 白血球系疾患
  • 血小板異常症(量的異常・機能異常)
  • 血栓性微小血管障害
  • 凝固・線溶障害
血液疾患
  • 診療科部長/感染対策室長

    清水 博之しみず ひろゆき

    専門領域 感染症内科、小児感染症、感染制御、臨床検査医学
    認定/
    資格
    日本臨床検査医学会臨床検査専門医 日本感染症学会感染症専門医・指導医 日本小児科学会小児科専門医・指導医 日本小児感染症学会小児感染症専門医 国際渡航医学会認定医 臨床研修指導医(厚生労働省)

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