院長挨拶

院長挨拶

新しい春を迎えて

謹んで新年の挨拶を申し上げます。
旧年中はお世話になりました。すべての方に心より御礼申し上げます。

 

当院ホームページをご覧いただきありがとうございます。一昨年(2023年)4月に院長に就任しました西川 正憲(にしかわ まさのり)は、院長として2回目の新春を迎えました。

 

当院は1971年の開院以来、地域の医療機関との連携を大切にしながら、皆さまから信頼される地域の基幹病院、高度かつ高質な急性期病院として、常に「より良い医療」を提供するべく運営しています。2024年は新型コロナウイルス感染症が流行し4年目となりましたが、その流行の波は繰り返しており、7月から8月にかけて、入院隔離対応をする新型コロナウイルス感染症患者さんが最大25人となることを経験しました。12月には入院隔離対応するインフルエンザウイルス感染症患者さんは23人、新型コロナウイルス感染症患者さんは4人ということも経験しました。また、RSウイルス感染症、溶連菌感染症、手足口病、マイコプラズマ感染症なども、これまでの知見とは異なる流行を経験しました。このような状況に対しても、当院では、「新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症と適切に対応できる地域の基幹病院、高度かつ高質な急性期病院」として役割を果たしてきています。

 

2024年4月から始まりました「医師の働き方改革」だけではなく、より良い医療を提供するためにも「医療者の新しい働き方」を模索しつづけています。高度かつ高質な急性期病院の医療職は、医療の不確実性が高いこと、長時間勤務になりがちであること、ライフ・ワーク・バランスが保ちにくいことなどが指摘されています。現場の医療職の過重労働や長時間勤務は、医療者自身の身体的な不調や精神的な不調を招き、提供する医療の質の低下や過誤につながることも判ってきています。一方で、これまでも、医療レベルを維持・向上することについては、医療者の献身的な努力に依存してきた現実があります。残念ながら、これらに対する有効的な施策は乏しい現状にあります。

 

私が医師になった1985年に比して、飛躍的に、医学、医療技術などは進歩してきています。しかし、科学技術が進歩している現代であるからこそ、医療の不確実性について、常に皆さまとともに共有したいと思います。病状については現時点で予想されることになります。変わることがあるかもしれないことは、予めご承知いただきたいと思います。私たち医療者が最善と考える選択(医療・治療)が、必ずしも患者さんやご家族の皆さまが期待される最高の結果につながるわけではないこともご了解いただきたくお願いいたします。

 

将来にわたりこの地域での高度かつ高質な急性期病院としての医療を保つためには、患者さんと皆さまのご協力をいただきたいと思います。定期的な受診による持病の管理、病態に応じた医療機関の選択、治療から介護への移行など、地域全体での適切な備えをお願いいたします。 まずは身近に気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ちましょう。そして高度かつ高質な医療が必要な場合は「かかりつけ医」の紹介で当院への受診をお願いいたします。その後、病状が安定しましたら、「かかりつけ医」などでの医療継続をお願いいたします。

 

本年(2025年)の干支は「乙巳(いっし:きのと・み)」です。「乙(おつ:きのと)」は、困難があっても紆余曲折しながら進むことや、しなやかに伸びる草木を表します。「巳(み:へび)」は蛇のイメージから「再生と変化」を意味します。この2つの組み合わせである乙巳には、「努力を重ね、物事を安定させていく」といった縁起のよさを表しています。何もしないで願い事が叶う訳ではありません。乙巳の年は「勇往邁進」「不撓不屈」の精神で、当院を取り囲む課題に、全職員とともに前向きに取り組めば、大きな成果へ繋がり、理想が現実化する1年となることを確信しています。

 

こうした「乙巳」である2025年も、当院では、引き続き適切な感染管理体制を継続し、「さまざまな感染症と共存する地域の基幹病院、高度かつ高質な急性期病院」として、救急医療、がん診療、地域医療連携、周産期医療、小児医療などのさまざまな機能を果たしてまいります。「より良い医療人になる」「より良い医療を提供できる」「より多くの患者さんに選んでもらえる」ように、職員一同、努力をともに重ね、皆さまの期待に応えられるように柔軟かつしなやかに成長して、安定させてまいります。

 

結びに、皆さまのご健康とご多幸、そして当病院への変わらぬご支援をお願い申し上げ、新しい春の挨拶とさせていただきます。

 

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

院長 西川正憲(2025(令和7)年元旦)