院長挨拶

院長挨拶

新年度を迎えて

当院ホームページをご覧いただきありがとうございます。院長の西川 正憲(にしかわ まさのり)です。

当院は1971年(昭和46年)年10月1日の開院以来、地域の医療機関との連携を大切にしながら、皆さまから信頼され、選んでいただける地域の基幹病院、高度かつ高質な急性期総合病院として、常に「より良い医療」を提供するべく、弛まぬ努力と運営を続けています。

2024年(令和6年)3月にMRI装置を更新しました。患者さんの負担がこれまでより少なく、がんによる骨転移やリンパ節転移に対して感度が高く診断できるようになりました。9月に最新のX線循環器撮影診断システムを導入し、2025年(令和7年)3月には、発作性心房細動治療において有効性と安全性に優れるパルス・フィールド・アブレーションを実施しました。 また、2025年(令和7年)2月27日には、クロアチア駐日大使が訪問され、当院で実施している最先端の全身麻酔下の内視鏡手術と内視鏡センターを見学いただきました。そして、同月、西館等再整備基本構想を策定しました。3月には、藤沢市公式LINEに当院のメニューを追加しました。2025年度も新しい技術・医療を適切に導入してまいります。

5年前から大流行を繰り返している新型コロナウイルス感染症は、2023年(令和5年)5月8日に感染症法上の5類感染症に位置付けられ、社会生活は活気を取り戻したように思われます。しかし、新型コロナウイルス自体の変異、病原性および感染後の重症化・症状遷延(いわゆる後遺症)などについては未知な部分が多く残っていて、現時点でも年に複数回の流行を繰り返しています。一方で、長期間の新型コロナウイルス感染対策によって免疫を持たない人が増加したことが要因と考えられる感染症の発生が例年に比べて大幅に増加しました。特に劇症型溶血性レンサ球菌感染症、RSウイルス感染症、手足口病、リンゴ病(伝染性紅斑)、マイコプラズマ肺炎などが相次いで報告されました。そして、2024年(令和6年)12月から2025年(令和7年)1月にかけては、新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザウイルス感染症も同時に大流行し、年末年始の医療提供体制はとても危うい状況にありました。当院では、藤沢市、藤沢市医師会とも協働しながら、引き続き、さまざまな感染症への適切な対応を行っていきます。

さて、以前から、高度かつ高質な急性期総合病院の医療職は、医療の不確実性が高いこと、長時間勤務になりがちであること、ライフ・ワーク・バランスが保ちにくいことなどが指摘され、超高齢少子化もあり、医療の担い手が不足しつつある状況にあります。さらに、これまでは、医療者の献身的な努力に依存して、医療レベルを維持・向上してきた現実があります。このような状況に対して、2024年(令和6年)4月には医師の働き方改革の新制度が施行されました。医師に限らず医療者は一人の人間であり、より良い医療の提供、医療安全の確保および持続可能な医療提供体制の維持などのために、適切な休息と睡眠などが不可欠であります。そのためには、平時における患者さんやご家族への病状や治療などの説明時間は平日の勤務日の9時から17時に実施できるようにご協力をお願いします。また、チーム医療として、病状説明や検査、治療、処置などを担当医以外の医師や医療職が対応することがあります。さらに、緊急時は、医師以外の医療職が初期対応・説明などを行うこともあります。当院では、医師だけでなく医療者の働き方改革(働き方新時代)にも適切に取り組んでまいりますので、皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

飛躍的に、医学、医療技術、科学技術などが進歩している現代であるからこそ、医療の不確実性について、あらためて皆さまとともに共有したいと思います。病状については現時点で予想されることになります。変わることがあるかもしれないことは、予めご承知いただきたいと思います。私たち医療者が最善と考える選択(医療・治療)が、必ずしも患者さんやご家族の皆さまが期待される最高の結果につながるわけではないこともご了解いただきたくお願いいたします。

将来にわたりこの地域での高度急性期病院としての医療を保つためには、皆さまのご協力をいただきたいと思います。定期的な受診による持病の管理、病態に応じた医療機関の選択、治療から介護への移行など、地域全体での適切な備えをお願いいたします。 まずは気軽に相談できる「かかりつけ医」を作りましょう。そして高度医療が必要な場合は「かかりつけ医」の紹介で当院受診をお願いいたします。その後、病状が安定しましたら、「かかりつけ医」などでの医療継続をお願いいたします。 当院では、引き続き適切な感染管理体制を継続し、地域の基幹病院、高度かつ高質な急性期総合病院として、救急医療、がん診療、地域医療連携、周産期医療、小児医療などのさまざまな機能について、これまでを継承・発展しつつ、「より良い医療人になる」「より良い医療を提供できる」「より多くの患者さんに選んでもらえる」ように、職員一同、今後も努力を続けてまいります。

本年度も当院をよろしくお願いいたします。

院長 西川正憲(2025年(令和7年)4月3日更新)