静脈血栓塞栓症:肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症

深部静脈血栓症とは血液のうっ滞により主に骨盤内や大腿以下の深部静脈に血栓が形成され静脈灌流障害が生じるもので、通常は片足が赤紫色に腫れ、痛みを伴います。その一方で下腿に限局するものは無症状のことも多いです。深部静脈の血栓が遊離して肺動脈内に流入し肺血管床を閉塞することで肺血栓塞栓症が生じ、息切れ、胸痛、失神などの症状が出現します。深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を併せて静脈血栓塞栓症と呼びます。骨折や手術後の長期臥床、長距離フライトなど血流のうっ滞を生じやすい状態で発症するのが典型的ですが、最近では進行した悪性腫瘍を背景に静脈血栓塞栓症が診断されることが増えています。
治療の中心は抗凝固療法で注射薬と内服薬があります。非心臓手術の周術期や悪性腫瘍の患者さんでは複数の疾患を有するため抗凝固療法が実施困難な場合も多く、診療科をまたがり連携して治療方針を決定しています。出血高リスクで抗凝固療法が実施困難な症例に対しては下大静脈フィルターを留置しています。

対象の診療科

  循環器内科

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