下肢静脈の血の流れ
立っていたり座っていると足の静脈の血液は下から上に向かって流れます。動脈の血液は心臓のポンプの力で送りますが、静脈の血液には心臓の力は及びません。静脈の血液を下から上に流す原動力は足の筋肉です。筋肉がマヨネーズのチューブをしごくようにして血液を上に押しやります。
更に足の先から心臓に向かって一方通行の血の流れにするために所々に逆流防止の弁があります。
この静脈の弁が色々な理由によって壊れて足の静脈の血液が上から下に向かって逆流して静脈がふくらんでしまうのが下肢静脈瘤です。
下肢静脈瘤の原因
原因は良く分かっていませんが、
- 出産経験のある女性に多い。
- 立ち仕事(立ちっぱなしで歩かない:店員、調理師、美容師、教師)の方に多い。
- 母親に静脈瘤があることが多い。
下肢静脈瘤の症状
- 足が張る、むくむ、重く痛む、こむら返り(夜寝ているとき)。
- 色素沈着、潰瘍
下肢静脈瘤の診断法
視診触診で分かります。手術には静脈造影や超音波検査が必要になります。
下肢静脈瘤の治療
- 保存治療 圧迫療法 弾性ストッキング
穿いてる時しか効かないが副作用は少ない。症状の軽い方はこれが一番です。 - 硬化療法
注射で固める方法です。当院ではやっておりません。 - 手術療法
悪くなった静脈瘤をとる。根治的方法です。
下肢静脈瘤手術
主な部分(大伏在静脈、小伏在静脈)は瘤になった血管にワイヤーを通して引き抜きます。枝の静脈瘤は一つ一つの静脈瘤の上を切開して取り去ります。小さい創が沢山出来ます。静脈瘤を取ったあとの静脈血流は深部静脈だけを通ります→深部静脈の閉塞した方は手術できません。
その後傷の痛みや神経痛が起きることもあります。手術適応は症状の有る方に限ります。
藤沢市民病院心臓血管外科における下肢静脈瘤手術当日の流れ(一般的な例)
- 術当日朝 病棟を出発
- 手術室入室、麻酔をかける(全身または腰椎麻酔)
- 執刀、主な静脈瘤を抜去(ストリッピング)
- 側枝、穿通枝を各々切除
- 閉創
- 麻酔をさます
- ご家族に説明
- 病棟へ帰る
- 御面会
藤沢市民病院心臓血管外科における下肢静脈瘤手術後の経過(一般的な例)
- 当日病棟へ帰る
- 翌日朝から歩行開始、食事開始。
- 7日目で抜糸退院
- 外来へ1〜2回通院
しばらく補助的に弾性ストッキング使用
下肢静脈瘤手術の良い所と悪い所
- 下肢静脈瘤が一回の手術で治ります。(まれに再発があります)
- 命に対する危険性はあまりありません。
ただし傷の痛みや後遺症(神経痛等)が残ることがあります。