急に聴力が低下し、めまいを伴う事もある疾患です。発症率は3000人に1人と推定されています。原因は分かっていませんが内耳の循環障害やウイルス感染説などが有力視されています。ストレスや過労が誘因となることも多く、1日も早く入院加療することが望ましいです。
適切に治療を行っても完治するのは3分の1で、3分の1は難聴や耳鳴がのこるものの症状は軽減します。残念ながら3分1は治りません。
早期治療が大切で、発症から10日以上経過すると治りにくくなります。治療はステロイドが中心ですが、血管拡張薬やビタミン剤、漢方薬などが併用されます。薬剤治療に合わせて内耳への血流改善を目的に星状神経節ブロックや、内耳への酸素供給を増やす目的で高気圧酸素療法1)が行われることもあります。
当院でも2021年度に高気圧酸素機器を導入する予定です。
- 高気圧酸素療法
大気圧よりも高い気圧の状態で、空気よりも高い濃度の酸素を吸入する治療法です。血液中に直接溶け込む酸素が大幅に増加します。高気圧酸素療法装置というカプセル型の装置に入り行う治療です。装置内の気圧を2気圧(水深10mぐらいの気圧)まであげた状態を維持し、体内には通常の15-20倍の酸素が取り込まれます。
1回の治療は約90分かかります。15分かけて気圧を所定の値に上げていき、60分その状態を維持して、15分かけて下げていきます。
保険適応の治療であり、耳鼻咽喉科では突発性難聴に対してよくおこなわれています。