副鼻腔炎

当科での副鼻腔炎に対する治療の中心は手術となります。急性副鼻腔の場合、治療の中心は抗菌薬となりますが、慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎1)に対しては手術が中心となります。
好酸球性副鼻腔炎とは、好酸球が副鼻腔粘膜に影響を与え炎症を起こす疾患です。軽症、中等症、重症に分類され、両側性に鼻茸を認め、嗅覚障害を起こしやすい疾患です。粘稠性の高い鼻汁がでることが多く、気管支喘息を合併しやすい等の特徴があります。
治療法は重症に対しては基本的には手術となります。手術は内視鏡を用いた副鼻腔内視鏡手術となります。鼻腔より内視鏡を挿入して行います。皮膚に切開などおかず、術後腫れたりすることもほとんどなく侵襲の少ない手術です。合併症(眼窩内合併症、頭蓋内合併症)を起こさないよう、ナビゲーションシステム2)を導入し安全を重視して手術を行っております。
手術における入院期間は3泊4日から5泊6日で行っております。
好酸球性副鼻腔炎は難治性の疾患で手術を行っても再発を繰り返す可能性があり、手術後の維持療法も大切となってきます。
中等症、重症例では指定難病となることもあります。指定難病の認定基準を満たした患者さんは好酸球性副鼻腔炎の治療にかかった医療費について、助成を受けることができます。助成を受けるためには都道府県に申請して医療受給者証の交付を受けることが必要です。

  1. 好酸球性副鼻腔炎
    難治性の疾患で、嗅覚障害がおこりやすく、両側性に鼻茸を認めることが多い疾患です。粘稠な鼻汁が出て、喘息を合併しやすい野が特徴です。
    確定診断はJESREC Score 11点以上、組織中好酸球数(400倍視野)70個以上 で行います。
    治療はステロイド(内服、点鼻)が中心で、生物学的製剤、抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬を使うことがあります。
    投薬治療では十分な効果が得られない症例には内視鏡下手術を行います。再発しやすいため定期的な通院と鼻洗浄が重要です。

    JESREC Score

    項目 スコア
    病側:両側 3点
    鼻茸あり 2点
    篩骨洞陰影/上顎洞陰影 ≧ 1 2点
    血中好酸球(%)
    2 < ≦ 5% 4点
    5 < ≦ 10% 8点
    10% < 10点
    スコアの合計:11点以上を好酸球性副鼻腔炎

  2. ナビゲーションシステム
    内視鏡下副鼻腔手術において、副鼻腔の中のどこを手術しているかを把握するために用います。手術操作部位をリアルタイムに表示するシステムです。 副鼻腔の周囲には眼や脳といった重要な臓器があり、ナビゲーションシステムを使用することで、合併症を減らすことができます。
手術の様子

対象の診療科

  耳鼻咽喉科

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