肝臓とは
肝臓は、腹部の右上に位置して成人で800~1,200gと体内最大で、解毒、合成、代謝に関する重要な臓器です。
①解毒
体の中で作られる有害物質や体外から投与された薬、毒物などを処理します。
②合成
生体内で必要な蛋白質を作ります。免疫や止血のために重要な因子を作ります。
③代謝
体のエネルギー源として、最も大切な糖の分解、合成に関与します。
④その他
免疫、胆汁の合成など。
肝臓には自己再生機能が備わっており、急性期を乗り切れば3-6か月程度で残った肝臓の体積が大幅に増大し、機能的にもほぼ元に戻ります。
肝臓悪性疾患の治療
肝切除以外に穿刺療法(ラジオ波焼灼療法など、体外から針を刺して行う治療)、肝動注療法(肝臓の血管にカテーテルを使用しての抗がん剤投与)などがあります。また、全身治療として全身化学療法(抗がん剤投与)などがあります。
これらのうち、どの治療法を選択するかはCT、MRI、超音波など精密検査でのがんの個数、大きさ、位置、肝機能(切除後に残る予定の肝臓の量、働き)、また患者さんご自身の状態も総合的に判断して、患者さん一人ひとりに合った外科切除を提案しています。
肝臓の解剖と手術方法
肝臓は肝臓内の血液や胆管の流れる場所ごとに8つの区域が決められています。
肝臓を切除する場合、肝臓のどの区域に腫瘍があるか、どの区域を切除するかによって、切除する範囲や切除のやり方が変わります。
肝機能が正常であれば、約60%までの範囲の肝臓を切除することができます。血流に沿って区域ごとに肝臓を切除する方法を「系統的切除」、がんの部分を含めてくり抜く切除方法を「部分切除」といいます。
肝臓は血流がとても豊富な臓器であるため、肝臓の手術では手術中の出血が多くなるリスクが消化器外科手術の中で高くなります。系統的肝切除は、外側区域切除を除き、日本肝胆膵外科学会では高度な技能を要する高難度肝胆膵外科手術に分類されています。
当院で取り扱う肝疾患
原発性肝癌(肝細胞癌、肝内胆管癌)、転移性肝癌(おもに大腸癌肝転移)などの悪性肝腫瘍や、良性肝腫瘍(肝血管腫、肝腺腫など)、肝嚢胞症、肝内結石症などに対する外科治療を行っており、肝葉切除や区域切除など高難度肝胆膵外科手術にも対応しております。
従来は肝臓の手術はおなかを大きめに切る開腹手術が一般的でしたが、当院では近年、おなかの創(きず)が小さくて済む腹腔鏡手術も積極的に取り入れています。