睫毛内反・乱生

睫毛内反は、いわゆる「さかさまつげ」のことで、通常は外を向いており眼球に接しないはずのまつげが内側を向き、眼球に接してしまう状態です。主に皮膚の余剰や二重まぶたのラインを作るため(≒まつげを外にむけるため)の筋肉の枝(穿通枝)が無いことが原因で、まつげが皮膚に押されて眼球に接触してしまいます。

実はアジア人では、0歳の時には半数に下まぶたの睫毛内反があると言われます。成長とともに徐々に改善していきますが、1012歳頃でも2%の人に残っており、これ以降は有病率の改善を認めません。そのため、この年齢以降でも睫毛内反がある場合には手術を検討することになります。また、より低年齢でも、内反が重度で視力障害や炎症などの悪影響がある場合には、手術を行います。

                       

手術方法は上下どちらのまぶたでもほぼ同じで、埋没法と切開法の2種類があります。埋没法は皮膚を切らず、小さな針穴から23カ所糸を結ぶだけの短時間(片側で510分)で手術できる簡単な方法ですが、厚みのあるまぶたでは再発しやすくなります。上まぶたの軽症例などに適しています。切開法は皮膚を切開し、穿通枝の代わりとなる縫合を56カ所に行う方法(Hotz変法と言います)で、時間はかかります(片側で1時間弱)が、埋没法に比べ再発は少なくなります。どちらも小児では全身麻酔となりますが、思春期以降~成人では局所麻酔でも可能です。

よく似た疾患で睫毛乱生があります。こちらはまぶたには問題がないのですが、まつげの一部がバラバラと乱れた向きに生えているせいで、まつげが眼球に接触してしまう疾患です。通常はごく一部のまつげによる症状なので、原因となる毛を抜いて対応することが多いですが、数が多い場合には毛根ごとまつげを切り取ってしまう手術を行うことがあります。

対象の診療科

  形成外科

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