低侵襲手術

低侵襲手術の実施

当院では、がん診療の専門医をはじめ、様々な疾患に対応できる各診療科スタッフが揃っています。
一般的に高齢の方や手術前から合併症を揺する患者さんは、手術の合併症リスクが上がる傾向にありますが、そうした患者さんに対しても、担当医をはじめ必要な診療科と連携しながら、看護部、コ・メディカルスタッフが協力して、安全、安心な手術の実施に努めております。
以前は腹部のがんに対する手術は開腹術が主流でしたが、1990年頃より小さな創を複数設置して専用の器具を用いて手術を行う腹腔鏡下手術が行われるようになってきました。この手術の長所は、ハイビジョンの内視鏡(腹腔鏡)を用いて、鮮明な画面を見ながら手術を施行できることです。
そのため繊細な操作が可能となり、出血量が少なく、創が小さいため痛みが軽減され美容的に優れ、身体へのダメージが少ない低侵襲手術と言われています。短所は、臓器を直接触ることが出来ず触覚の情報が伝わりにくい、手術時間が長い、難易度が高いなどが挙げられます。
最近ではロボット支援手術が保険適応となり、当院では「ダ・ヴィンチ X」を導入し、泌尿器科、外科、婦人科で行っています。
ロボット支援手術は腹腔鏡手術の利点をさらに向上させると考えられており、腹腔鏡では実現できない人間の手の動きを模倣した多関節機能を持った鉗子を用いて複雑で繊細な手術手技を可能にするため、次世代の医療改革の一端を担うと考えられています。ロボット支援手術の短所は、ロボットを介しての手術であり、術者は臓器に対する触覚を感じることが出来ないので注意が必要です。
実際の手術執刀は、術者と第一助手はダ・ヴィンチ手術システム使用のためにIntuitive Surgical社による認定ライセンスを取得した医師が行います。

「ダヴィンチ手術について」

当院では、患者さんの身体への負担軽減をめざし、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」による手術を行っています。

ダヴィンチ手術について

「ダヴィンチ手術」のメリット

①3次元画像による手術

従来の腹腔鏡下手術 「ダ・ヴィンチ」手術
2次元画像
(奥行きを感じるのが難しい)
3次元画像
(立体的な高画質画像下で精緻な手術が可能)
ダヴィンチ手術について

②鉗子(かんし)の自由度が高く、正確

従来の腹腔鏡下手術 「ダ・ヴィンチ」手術
長い直線的な鉗子を用いた手術で、関節機能がないため制限がある ・多関節機能を持った鉗子により多彩な動きが可能
・手振れ防止機能により微細な操作を行うことで、精緻な手術が可能

③患者さんにやさしい低侵襲手術を実現

従来の腹腔鏡下手術 「ダ・ヴィンチ」手術
傷口が大きく、出血が多め 傷口は小さく、出血は少なめ、術後の回復が早い
ダヴィンチ手術について

※「ダヴィンチ手術は診療報酬上で対象疾患が定められています。
手術方法は、個々の患者さんの状態によって決定します。

「ダ・ヴィンチ」手術の仕組みと様子

ダヴィンチ手術について

「サージョンコンソール」

術者がロボット鉗子を操作する操縦席です。3次元画像を見ながら手術を行います。

ダヴィンチ手術について

「ペイシェントカート」

医師の手の動きを繊細に再現して手術を行います。
※ダ・ヴィンチは手術操作は医師が行います、自動でロボットが行うわけではありません。

ダヴィンチ手術について

「ビジョンカート」

カメラから送られた画像処理を行います。上部のモニタには、術者と同じ映像が映しだされ、術者以外の医師、看護師も確認できます。

ダヴィンチ手術について
ダヴィンチ手術について

当院で実施している「ダヴィンチ」手術(2024年3月)

消化器外科領域

直腸がん/結腸がん

通常の腹腔鏡下手術では、操作困難であった骨盤内操作を必要とする直腸がん・結腸がん手術に対して、「ダ・ヴィンチ」は機能を最大限発揮します。

泌尿器科領域

前立腺がん/膀胱がん/腎がん(部分切除)

「ダ・ヴィンチ」手術は、従来の腹腔鏡手術では難しい、根治性(がんの完全摘出)と機能温存(尿失禁とケースにより男性機能)の両方を実現する最適な環境下で手術が行えます。

婦人科領域

子宮体がん/良・悪性子宮疾患

骨盤の狭く深い場所に病巣があり、対象臓器が動かない婦人科疾患の手術治療に対して、3次元立体画像と自由度の高い鉗子操作によって、「ダ・ヴィンチ」は機能を最大に発揮します。

※今後、上記以外の疾患にも対応していく予定です。