お知らせ

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新型コロナウイルスワクチン ~医療従事者へのワクチン接種について(第2報)

日本で接種が進んでいる新型コロナウイルスワクチンは、高い発症予防効果があり、重症化や死亡リスクも低くなることが様々な研究結果から分かっています。しかし、感染予防効果は2回目接種から5~6ヵ月後には、47%まで低下したという報告があります。また、入院予防効果や重症化予防効果は比較的高く維持されますが、発症予防効果は経時的に低下することも確認されています。

以上から、3回目接種の必要性が高まり、当院では医師、看護師をはじめとする医療従事者を対象とした新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種(ファイザー社製コミナティ筋注®)を2021年12月14日より開始しました。これまでのワクチン接種による副反応の出現状況や、ワクチンで得られた抗体価の推移について調査を行いましたので、その結果を公表します(2022年1月現在、保険適用外であり当院で検査を受けることはできません)。 

ワクチン3回目接種後の副反応
ワクチン3回目接種後の抗体推移

ワクチン3回目接種後の副反応

ワクチン接種の概要

2021年12月24日までに3回目接種を完了
857名


副反応調査を行った対象者数
591名

副反応調査の対象者の内訳

副反応調査の対象者の内訳

接種直後の主な副反応

アナフィラキシーショック 0名(0%)
アレルギー症状 1名(0.17%)

接種後1週間以内にみられた副反応

注射部位の局所の反応

注射部位の局所の反応

局所反応(ワクチンを接種した周辺の部位)は、3回目の接種では疼痛(接種した部位が痛む)が 93%、硬結(接種した部位にしこりができた)が19%、腫脹(接種した部位が腫れる)が27%、発赤(接種した部位が赤くなる)が10%で出現しました。1、2回目の接種と比較してほぼ同程度からやや多い頻度で局所の反応が認められていましたが、いずれも接種翌日が最大で、以降は徐々に改善していました。

全身の反応

発熱
倦怠感
頭痛
吐き気
筋肉痛
関節痛

全身の反応は、接種翌日がもっとも多く、37.0℃以上の発熱は約40%、倦怠感は約57%、頭痛は約42%、吐き気は約9%、筋肉痛は約36%、関節痛は32.4%と2回目の接種時とほぼ同様でした。また、出現した副反応の強さは多くが2日目(接種翌日)に症状のピークがあり接種の翌々日には軽減または改善しており、これも2回目接種時と同様の傾向でした。
また、図には示していませんが、2回目の接種では1.8%程度の頻度でみられた接種した側の腋窩(脇の下)のリンパ節の腫脹・痛みは3回目の接種では55名(9.3%)の医療従事者に認められました。

副反応に対する主観的な印象

副反応に対する主観的な印象

2回目の接種と比較して、3回目ではより重度・やや重度の副反応であったと感じたスタッフは30%、軽度・やや軽度であったと感じたスタッフは40%でした。

まとめ

以上のことから、2回目の接種の時に強い発熱や倦怠感が出現したからといって3回目にも必ずしも強い副反応が出現するとは限らないと言えます。逆に、これまでの接種で副反応が軽かったからといって3回目接種時にも軽いとは言い切れないため、事前に接種翌日の予定を空けておくことや解熱鎮痛剤を用意しておくなどの準備が必要かもしれません。

※注意
これはあくまで発熱や倦怠感などの一般的な副反応のことを示しており、2回目接種時に皮疹などのアレルギー反応や血管炎などといった副反応を経験した方は、3回目の接種をしてよいか、かかりつけ医とよく相談して確認をしてください。 

<参考情報>
厚生労働省
新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査

藤沢市ホームページ
新型コロナウイルス感染症のワクチンについて

ワクチン3回目接種後の抗体推移

抗体価の推移

抗体価の推移

抗体価(IgG)は、2回目ワクチン接種から3週間後に平均60.3まで上昇しました。その後、2回目の接種から32~34週間後の3回目接種前には平均5.2まで減衰しました(減少率91%)。しかし3回目接種によって、その3週間後には156.0まで上昇しました。2回接種後のピークに比べて約2.6倍の抗体価まで上昇しました。

性別差

性別差

男性と女性で抗体価に差はありませんでした。

年代別の抗体価

年代別の抗体価

若年者ほど、ワクチン接種直後の抗体価は高い傾向はありますが、時間経過とともにその差はなくなりました。

血液型別の抗体価

血液型別の抗体価

ワクチン3回目接種から3週間後の抗体価は、血液型による差はありませんでした。

まとめ

新型コロナウイルスワクチンは、2回目ワクチン接種から3週間後に抗体価はピークに達しました。その後は時間とともに減少し、2回目の接種から32~34週間後の3回目接種前には約10分の1まで低下していましたが、3回目の接種によって2回接種後のピークに比べて約2.6倍の抗体価まで上昇していました。また、どの年齢層の医療従事者も充分に上昇していました。海外の報告と同じように、日本の成人においても3回目接種によって十分な抗体上昇を得られることが分かりました。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援))「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究(研究代表者:横浜市立大学 梁 明秀)」の支援を受けて行われました。

問い合わせ

〒251-8550 藤沢市藤沢2-6-1
藤沢市民病院 病院総務課
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