お知らせ

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新型コロナウイルスワクチン ~医療従事者へのワクチン接種について(第4報)

日本で接種が進んでいる新型コロナウイルスワクチンは、高い発症予防効果があり、重症化や死亡リスクも低くなることが様々な研究結果から分かっています。ウイルスの変異がすすみ、ワクチンで得られる免疫を回避する性質をウイルスが獲得したことで、従来の株と比較してワクチンの有効性が低下していることが報告されています。しかし、国内で現在流行しているオミクロン株に対しても、追加接種をすることで重症化予防効果はある程度保持されていることが知られています。

これまで当院は、3回目の接種(追加接種)による抗体価の再上昇とその後の抗体の推移や、職員を対象とした接種後の副反応調査の結果について公表してきました。2022年6月から60歳以上および重症化リスクのある者を対象とした4回目接種が始まり、その後8月から、医療従事者も4回目接種の対象となりました。当院職員における4回目の接種による副反応の調査結果をまとめましたので、第4報として報告いたします。また、3回目接種から33週間(約8か月)経った時点までの抗体価推移についても調査しましたので、あわせて公表します。(2022年9月現在、新型コロナウイルスの抗体検査は保険適用外であり、当院で抗体検査を受けることはできません。)

ワクチン4回目接種後の副反応
ワクチン3回目接種後の抗体推移

ワクチン4回目接種後の副反応

当院では医師、看護師をはじめとする医療従事者および保健所職員や救急消防職員を対象に新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種(従来株対応のファイザー社製コミナティ筋注®)を実施しました。これまでも接種後の副反応の結果を報告してきましたが、4回目接種による副反応についても結果をまとめましたので、報告いたします。

なお、4回目接種については当初、高齢者および重症化リスクを有する者を対象としていた経緯から、これまでの接種者と背景が異なる可能性があり、3回目までの副反応との比較が正確に出来ないため、1回目から4回目まで全ての副反応のデータがある者のみを対象とした結果にしております。これまでに報告してきた各回の副反応の報告と異なっておりますので、各回での調査結果を知りたい方は、過去の結果報告からご参照ください。

ワクチン接種の概要

当院で4回目の接種を完了した人数

1,518名(保健所・救急消防職員を含む)

副反応調査を行った対象者数(接種4回分の副反応調査結果がある者)

730名

副反応調査の対象者の内訳

副反応調査の対象者の内訳

接種直後の主な副反応

アナフィラキシーショック 0名(0%)
アレルギー症状 0名(0%)

4回目の接種でアレルギー様の症状が出現した接種者はいませんでした。

接種後1週間以内にみられた副反応

注射部位の局所の反応

注射部位の局所の反応

局所反応(ワクチンを接種した周辺の部位)は、4回目の接種では疼痛(接種した部位が痛む)が84.5%、硬結(接種した部位にしこりができた)が26.2%、腫脹(接種した部位が腫れる)が29.2%、発赤(接種した部位が赤くなる)が12.6%で出現しました。硬結や腫脹では、接種の回数を重ねるにつれ、わずかに副反応の頻度が上昇する傾向が認められましたが、いずれも接種翌日が最大で、以降は徐々に改善していました。

全身の反応

全身の反応〈発熱〉

全身の反応〈倦怠感〉

全身の反応〈頭痛〉

全身の反応〈吐き気〉

全身の反応〈筋肉痛〉

全身の反応〈関節痛〉

全身の反応は、これまでと同様に接種翌日がもっとも多く、37.0℃以上の発熱は約37%、倦怠感は約57%、頭痛は約36%、吐き気は約6%、筋肉痛は約31%、関節痛は約24%と3回目の接種時と比較してやや減少していました。出現した副反応の強さのピークが2日目(接種翌日)にあることがほとんどで、接種の翌々日には多くが軽減または改善していました。これは3回目までの接種と同様の傾向でした。

副反応に対する主観的な印象

副反応に対する主観的な印象

3回目の接種と比較して、4回目ではより重度・やや重度の副反応であったと感じたスタッフは18%、軽度・やや軽度であったと感じたスタッフは44%でした。また、同じ程度と感じたスタッフは38%でした。

副反応調査のまとめ

以上のことから、4回目の接種は、3回目と比較して局所反応はやや多く、全身反応はやや少ない可能性はありますが、副反応の出現の仕方などはこれまでとほぼ同様の傾向でした。4回目につきましても、一部の方で38.5℃を超える発熱や倦怠感など強い副反応が出現する場合がありますので、これまでと同様に接種日翌日の予定を空けておくことや解熱鎮痛剤を用意しておくなど、事前の準備をしておくことをお勧めします。

<参考情報>

厚生労働省
新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査

藤沢市ホームページ
新型コロナウイルス感染症のワクチンについて

ワクチン3回目接種後の抗体推移

抗体価の推移

抗体価の推移

抗体価のピークは、2回目、3回目接種後ともに、ワクチン接種から3週後でした。そのピーク値は、2回目接種後は48.6、3回目接種後は140.3となり、3回目接種後は2回目接種と比較して約2.9倍の値になりました。また、ピーク値からの減少率も接種後33週で比較すると、2回目接種後は48.6から4.1に低下し減少率は91.5%、3回目接種後は140.3から35.9に低下し減少率は74.2%と接種後の抗体価の減少は2回目接種後に比べ3回目接種後は緩やかに減少する結果となりました。
その他、性別、血液型では有意差が見られなかったこと、若年層で抗体価が上昇しやすい傾向、抗体価が高くても感染が確認されたことなどが知見として得られました。

抗体価推移のまとめ

新型コロナウイルスワクチンは、2回目、3回目ともにワクチン接種から3週間後に抗体価はピークに達しました。その後は時間とともに減少しましたが、2回目接種後より、3回目接種後の方が減少スピードは緩やかでした。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究(研究代表者:横浜市立大学 梁 明秀)」の支援を受けて行われました。

問い合わせ

〒251-8550 藤沢市藤沢2-6-1
藤沢市民病院 病院総務課
TEL 0466-25-3111 内線8426
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